勉強法

弁理士試験に働きながら短期合格できる!短期合格方法を徹底解説

弁理士は、知的財産法の法律家です。

「知的財産法」とは、知的財産に関するいくつかの法律の総体を

称したもので、取り扱いには高度な専門性を必要とします。

特許法、実用新案法、意匠法、商標法の取得や、紛争解決には

高度な実務知識が求められ、弁理士はこれらの業務を

扱うことのできる唯一の国家資格保持者です。

弁理士の試験は国家資格の中でも、難関と言われる試験であり

資格を取得するまでにたくさんの時間と労力がかかると

思われていますが、本当のところはどんなものなのだろうと

気になる人もいると思います。

実際には、1回の弁理士試験で合格し、弁理士の道を

歩んでいる人たちも存在しています。

勉強が大変だと言われている弁理士試験ですから

学生の頃から弁理士の資格に特化した勉強をしている人たちが

弁理士試験の合格者に名を連ねると思いきや

実際は、社会人として働きながら弁理士の試験に合格を

している人たちが大半を占めています。

この記事では、働きながら弁理士試験に短期合格するための

方法を解説していきたいと思います。

弁理士試験の合格者の多くは働きながら資格を取得する!

弁理士の試験の合格者に焦点を当ててみると

多くの人たちが働きながら弁理士の試験に挑んでいることがわかります。

特許庁の発表しているデータを見ると

2019年度の合格者は、30代が47%と最も多く

次いで40代が26%となっています。

データが証明しているように、弁理士を目指す多くの人たちは

働きながら弁理士の試験を受験しています。

職業別で比べてみると

会社員:137名

特許事務所:82名

その他:10名

無職:19名

公務員:5名

学生:3名

法律事務所:2名

教員:1名

自営業:1名

となっており、会社員が52.7%と大半を占めています。

次いで、特許事務所に勤めている人が31.5%となっています。

そして、在学中に弁理士の試験に特化して勉強時間を

費やしてきた学生たちの方がたくさん合格すると思いきや

無職の人たちを含めても22名ほどの合格者に留まっています。

上記のことから、弁理士試験に挑む多くの人たちが

社会に出ている人であることがお分かり頂けたかと思います。

弁理士試験の合格者は圧倒的に理系が占めている!

弁理士試験の特徴としてよく挙げられるのが

弁理士試験の合格者には、圧倒的に理系出身者が多いという

ことです。

2019年度の出身校系統別合格者の割合は

理工系:82.3%

文系:12.7%

となっており、理系出身者にアドバンテージのある試験に

なっています。

弁理士試験の選択科目試験の内容は下記の科目から

出題され、いずれか1つを選んで試験に臨みます。

(1)理工Ⅰ(機械・応用力学):材料力学、流体力学

熱力学、土質工学

(2)理工Ⅱ(数学・物理):基礎物理学、電磁気学、回路理論

(3)理工Ⅲ(化学):物理化学、有機化学、無機化学

(4)理工Ⅳ(生物):生物学一般、生物科学

(5)理工Ⅴ(情報):情報理論、計算機工学

(6)法律(弁理士の業務に関する法律):民法

上記の科目を見てわかるように、理系の科目が多いことからも

弁理士試験の合格者に理系出身者が多い理由の一つと言えます。

また、理系大学の出身者の中には、卒業研究や、理系の

大学院在学中に行う研究にて特許を出願することもあります。

特許を申請するまでに数々の工程を踏むため、理系出身者には

特許や知的財産に関する基本的な知識が備わっていることが

わかります。

弁理士試験に働きながら短期合格するための勉強時間

弁理士の試験に合格するために必要な勉強時間は

一般的に3000時間が必要だと言われています。

3000時間と聞くと果てしなく長い時間の様に思え

短期合格を目指すことは、不可能に近いのではと

考えこんでしまう人もいるでしょう。

しかし、実際に2019年度の合格者の約10%は短期合格

(1回の試験で合格)しています。

弁理士の1日平均の勉強時間は平日が3時間で土日が8時間と

言われていますが、正しい勉強法で弁理士の試験に必要な

範囲だけを勉強すれば、勉強時間は1500時間程度で合格が

可能です。

弁理士の試験を受ける人たちの多くは会社員ですから、

働きながら勉強に時間を費やすことは簡単なことでは

ありません。

しかし、集中して効率よく勉強を進めていけば

勉強時間は1500時間程度ですみ受験にかかるまでの

時間を1年とし、1日4時間×365日を少しずつ積み重ねて

いけば1460時間になり、働きながらでも1年で合格する

ことが可能です。

弁理士試験に働きながら短期合格するための勉強方法

会社員の中には、弁理士試験に向け予備校や専門学校に

通う人もいます。

しかし、住居近くまたは会社近くにそういった学校が

ないという人たちは、学校へ通うまでに多くの時間を

費やしてしまうことになるので注意が必要です。

自分の通勤途中や、自宅近くに学びの場所があるのであれば

そこに通うことも良いと思いますが、わざわざ通うとなると

非効率な時間になってしまう可能性があることを認識して

おきましょう。

働きながら弁理士試験の合格を目指す人は、時間に余裕のある

学生に比べると勉強に費やす時間が限られています。

その限られた時間の中で、時間を有効に使った人が弁理士の

試験に合格できると言っても過言ではありません。

弁理士の試験を働きながら受ける人たちの中には

難関試験であることから、気持ちだけが焦りがちになり

余裕がなくなってしまい勉強に集中できないことも

あるでしょう。

しかし、先にも述べたように弁理士の試験を受ける人たちの

大多数は、みな同じ条件の「働いている人たち」です。

限りある時間は、みな同じであると考えて、効率の良い自分に

あった勉強方法を見つけ弁理士試験の短期合格を

目指しましょう。

働きながら弁理士の試験に合格するために必要な勉強方法は

自分に合った勉強方法を見つけるということが

必勝への近道ですが、初めて受ける弁理士の試験に

どのような対策を立ててよいのかわからないといった人たちの

方が大半を占めると思いますので、限られた時間の中でも

効率の良い勉強方法を下記にまとめています。

(1)短答式筆記試験

弁理士の試験は、短答式筆記試験、論文式筆記試験(必須科目)

論文式筆記試験(選択科目)、口述試験とトータル4つに

分かれて実施されます。

まずは、第一関門である短答式筆記試験に合格しなければ

なりません。

試験勉強と聞くと、全てを網羅して幅広く学ばなければ

ならないと思われがちですが、その考え方は弁理士試験に

おいては不要な思考です。

なぜなら、短答式筆記試験を終えた後の論文式筆記試験

(必須科目)の実施までは、約1ヶ月半の猶予があります。

また、短答式筆記試験に合格した人は仮にその後の

論文式筆記試験(必須科目)に落ちてしまったとしても、

2年間の短答式筆記試験免除があるため、まずは短答式筆記試験

への合格を目指して勉強をしていきましょう。

①過去問題集

弁理士の試験は、その難易度から独学で学ぶことは

不可能だという印象を持たれる人も多いと思いますが

独学で弁理士の試験に短期合格することは可能です。

そして、その合格を可能としてくれるアイテムが

過去問題集です。

各社出している問題集を見ると、過去10年分を集約した

問題集が一般的です。

しかし、その数の多さからどの過去問題集を選べばよいのか

迷ってしまう人もいらっしゃることでしょう。

まずは自分の見やすい、読みやすい過去問題集を探し出し

10年分を集約した過去問題集を全て理由付きで回答できる

ようにする必要があります。

中には、5年分を集約した過去問題集もありますが

問題に偏りがあるので、本試験で出題されていない問題が

出たときに対応できない可能性があるので注意が必要です。

過去問題集をうまく使って、弁理士試験の短期合格を

目指しましょう!

②条文集

上記の過去問題集と共に、独学で働きながら弁理士試験の

短期合格を目指す人たちにとって重要なものが条文集です。

一般的には、四法対照条文集と知的財産権法文集の2つがあります。

個人的なおすすめとしては、四法対照条文集を選ぶことです。

なぜなら、四法対照条文集では意匠法や商標法は、特許法を準用しており

特許法と比較しながら、覚えていくことによって知識が定着しますし

一覧性も良くて復習効率が高いからです。

③情報を一元化

弁理士試験の過去問題集と、条文集を用意したら

後は、情報をまとめていきます。

過去問題集の中から、重要なポイントや自分が不得意とするポイントを

条文集に直接書き込んでいきましょう。

一見、学生時代のテスト勉強の様な工程ですが

最も有効な勉強方法の一つです。

情報を一元化することによって1冊に勉強材料を集約し

貴重な時間を有効に使うことができます。

一元化するまでに多少の時間を必要としますが

一元化する間に覚えられることも相当数あり

無駄な作業時間ではありません。

今後の有効な時間の使い道を確保するために

情報を1冊に集約することをおすすめします。

④素読みと録音

弁理士試験の過去問題集と条文集を1冊に集約し終えたら

後は、ひたすら素読みを続けましょう。

中には、素読みは自分の勉強スタイルには合わないという人も

いらっしゃることと思いますから、そういった人には

集約したものを「ひたすら書く」という方法もありますので

試してみましょう。

弁理士試験の短答式筆記試験は、言ってしまえば「暗記」なので

自分の頭の中にどれだけの情報量を入れることができるのかで

合否が決まります。

私のおすすめの勉強方法は、「書く」よりも「聴く」ことです。

予備校や専門学校、またはインターネットには

第三者が素読みしたものが用意されていることもありますが

重要なことは、自分自身が集約した自分だけの参考書を

自分の声で読み、聴くということです。

なぜ、自分で素読みする方法をおすすめするのかと言いますと

人はそれぞれ、話し方、声のトーン、発音などが違います。

自分自身が一番聴き慣れ親しんでいる声や発声は

自分の話し方です。

聴き慣れている声は、第三者の声よりも聴きやすいものです。

特に、パリ条約の条文については条文の暗記が必要ですので

素読みと録音を行いましょう。

他の条文については優先度はそれほど高くないので余裕があれば

素読みと録音を行なってみるのも良いと思います。

録音をしておけば、電車での移動、ちょっとした睡眠前の時間などにも

聴きかえすことができるので、弁理士試験の短答式筆記試験までの

限られた時間をより有効に使うことができるでしょう。

⑤短答式筆記試験と論文式筆記試験の試験勉強

この2つの試験勉強を並行して行うことが合格への近道です。

なぜなら、短答式筆記試験だけの勉強をするよりも

論文式筆記試験の勉強も同時進行で行った方が制度や手続きの

流れについて本質的な理解が身に付くからです。

(2)論文式筆記試験(必須科目)

弁理士試験の第一関門を突破した後に待ち構えているのは

論文式筆記試験(必須科目)です。

文字通り、設問を受けその答えを論文形式で記述していく

試験となります。

弁理士試験の論文式筆記試験(必須科目)は、弁理士の

試験科目の中で最難関であると言えます。

この試験に合格するための勉強方法はたった1つです。

過去問題集や条例集から論文の書き方を学ぶことです。

書き方のポイントを3つ抑えておきましょう。

①根拠条文を説明する

弁理士は、知的財産に関する法律家です。

自分の思いを書き連ねれば良いというものではなく

きちんと根拠に基づいて、なぜそのような回答に至ったのか

ということを順序立てて説明する必要があります。

②条文適用要件の検討をする

根拠条文を正しく導き出し、法的根拠を満たすために

その条文の適用要件を検討することが必要です。

①と同様、なぜそのような回答に至ったのかを

適用要件を検討しながら説明をする必要があります。

③法律効果の説明をする

根拠条文の説明と適用要件の検討まで辿りつくことが

できれば、後はその根拠条文の効果によって

どのようなことが起きるのかということを説明します。

効果の説明は、論文の結論部分なので

ここまでを完璧に行わなければ回答は不十分と

見なされてしまいますので注意が必要です。

短答式筆記試験を突破した人たちの8割近くが不合格となってしまう

論文式筆記試験(必須科目)ではありますが

過去の問題と比較するとわかるように

似たような設問が、言い回しを変え、体系を変えて

出題されています。

上記の①~③を順序立てて勉強していけば

論文試験に求められている肝の部分が把握できるようになります。

弁理士試験の短期合格に向けて、論文の練習を短答の勉強と

並行して行いましょう!

(3)論文式筆記試験(選択科目)

論文式筆記試験には2種類あり必須科目試験と

選択科目試験に分かれています。

選択科目試験は、必須科目試験が終わった後

約半月ほどで実施されます。

短答式筆記試験と論文式筆記試験(必須科目)の実施までの間と

比べると、だいぶ期間が短くなっていますが

論文式筆記試験(選択科目)は、先にも記載した通り

自分の強みを存分に発揮できる試験となっています。

例えば、あなたが選択科目の中で熱力学を学生時代に専攻して

学んでいたとすれば基礎的な知識は備わっていますから

学生時代に使っていた教科書を用いて、苦手な部分を

克服する時間にあてるなどして、過去に学んだ知識を

呼び起こしてみましょう。

多くの理系出身の人は、大学を卒業するときに卒業論文を

発表するために、専門分野に特化した研究をしているはずです。

そのレポートを読み返して、当時の記憶を呼び覚ますのも

有効な時間の使い方の1つです。

(4)口述試験

論文式筆記試験(選択科目)から口述試験の実施までの間は

3ヶ月です。

この3ヶ月で口述試験にむけて勉強をしていけば十分に

合格ラインが見えてきます。

なぜなら、弁理士試験の口述試験の合格率は、

驚異の90%超えです。

10人いたら、9人は合格するということです。

ここまで合格率が高いのには理由がありまして

この口述試験は、論文式筆記試験(必須科目)で出題される

ような設問を自らの言葉で説明する科目なので、

論文式筆記試験(必須科目)の知識が備わっている状態で

受験をしますから大半以上の人が合格を掴み取ることが

できます。

しかし、いくら合格率が高いと言っても対策は必要です。

過去5年の口述試験で出題された条文は、暗唱できるレベルまで

鍛えておきましょう。

口述試験は試験官と2対1で行われる口頭試験ですから

初めて受ける人でも、数回受けた人でも緊張の度合いに

大して変わりはありません。

自分が論文式筆記試験(必須科目)用に勉強してきたことを

人にわかるように説明するという訓練をしておきましょう。

上記、(1)~(4)に共通して言えることは

諦めずに自分の勉強スタイルを信じて

絶対に受かるんだ!と強い意志を持って勉学に励みましょう!

迷わず一直線に限られた時間を有効活用してくださいね。

最後に

弁理士の試験は、効率的な勉強方法で弁理士試験に必要な範囲だけ

勉強すれば、働きながら1年で合格できる試験です。

毎年約10%の人たちが働きながら、弁理士の試験を短期合格

(1回で合格)しています。

自分なりの効率のよい時間の使い方を見つけ、効率的な

勉強方法を身につけてあきらめずにコツコツと勉学に

励んでいきましょう。