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理系に技術士より弁理士資格をおすすめする理由を徹底解説

技術士は21部門というたくさんの分野から構成されている仕事です。

多くの技術士は国や地方自治体、企業に所属してインフラ整備などの業務を行い、

中には公共事業の事前調査や中小企業への技術指導を行う技術士もいます。

弁理士は、技術や発明の権利、知的財産を守るための仕事をしています。どちらも重要な

責任を担う仕事ですが、その業務内容は大きく異なるため資格を取得する上での勉強の

方向性も大きく異なります。

 

当記事では、なぜ理系に弁理士がおすすめなのかを業務内容や年収資格試験などを通して

解説していきます。

技術士と弁理士のどちらかで、迷っている理系の方はそれぞれの違いを見て

参考にしてみてください。

 

技術士と弁理士の資格難易度の違い

技術士の試験は、第一次試験と二次試験に分かれています。技術士の一次試験には

受験資格を儲けていないので、年齢や国籍に関わらず、誰でも受けることが可能です。

しかし、技術士の第二次試験には下記の受験資格を儲けています。

(1)技術士補の資格を持っていること

・技術士第一次試験に合格

・大学、その他教育機関の課程である科学技術に関するもののうち、その修了が

第一次試験の合格と同等であるとして文部科学大臣が指定した者

(2)業務経験があること

・技術士補の登録日以降、技術士補として技術士を一定期間補助している者

・技術士補の資格を取得した日以降、監督者の下で科学技術に関する業務を一定期間

行っている者

・科学技術業務に一定期間、従事している者

 

技術士になるためには、まず第一次試験に合格した後に、

(2)の実務経験を積む必要が

あります。技術士の第一次試験に合格した人の実務経験期間は、

短い人で4年、長い人では

10年もの時間を実務経験期間として要することになります。

25歳で技術士の一次試験に

合格したとすると、技術士の第二次試験を受けるころには

35歳だと思うと膨大な時間が

かかることがわかるでしょう。

 

また、技術士の第一次試験は21部門に分かれており

・機械部門

・船舶、海洋部門

・航空、宇宙部門

・電気電子部門

・化学部門

・繊維部門

・金属部門

・資源工学部門

・建設部門

・上下水道部門

・衛生工学部門

・農業部門

・森林部門

・水産部門

・経営工学部門

・情報工学部門

・応用理学部門

・生物工学部門

・環境部門

・原子力、放射線部門

・総合技術監理部門

それぞれに特化した試験内容となるので、

専門分野のみの試験勉強ができるので

専門知識を学んできた人たちにとって挑戦しやすい試験と言えます。

 

技術士の試験に比べて弁理士の試験は、

特許や知的財産に関する分野に絞って勉強することができるので、

仕事をしながら独学でも問題なく学ぶことが可能です。

論文試験で出題される事例問題は分析力を求められますが、

理系出身の人からすれば分析は基本的な考え方の一つですから、

分析力を合格基準点まで鍛え上げることができれば

一発で合格することも可能です。

実際に、合格者の平均年齢が37歳であることから、

たくさんの人が仕事をしながら

資格取得を目指していることがわかります。

 

また、弁理士の場合、技術士のように膨大な実務経験は必要なく、弁理士の試験に

合格した後、実務研修があり、修習が終わって初めて

弁理士会に登録して弁理士になれますが、

技術士のように4年〜10年の実務経験を積んで

第二次試験に臨むことはありません。

 

このように、試験だけを見ても技術士と弁理士では大きく異なっています。

 

技術士と弁理士の合格率

2019年度は、技術士の第一次試験を受けた人は22073名、合格者は596名で

合格率は49.5%でした。日本技術士会のデータによると毎年、40%〜50%の合格率となります。年齢別で合格率を見てみると、10代〜60代と幅広い年齢層でいずれも50%前後です。70代以上になると合格率が大幅に落ち9.1%となっています。

 

また、部門別の受験者数を見てみると、毎年、

建設部門の第一次試験を受ける人が圧倒的に多く、

他の部門に比べ5倍ほどの受験者数となっています。建設部門の一次試験の合格率も

毎年50%前後をキープしており、受験者の半数が合格しています。

技術士の第二次試験を受けた人は24326名、

合格者は2819名で、合格率は11.6%でした。

技術士は一次試験の合格者は半数ほどですが、

二次試験では10人に1人が合格する狭き門となります。

合格者の平均年齢は44.3歳と高年齢であることから、

第二次試験を受けるまでの4年〜10年の実務経験を

積まなければならないことがネックになっていることがわかります。

 

弁理士の試験の場合は、特許庁の発表しているデータによると、2019年に弁理士の試験を受けた人は3488名、合格者は284名で、合格率は8.1%でした。

過去のデータから比較すると、受験者は年々減少傾向にありますが、合格者はほぼ横ばいで

毎年、7%〜8%をいったりきたりしている状態です。

年齢別で合格率を見てみると30代が47%と最も多く、次いで40代が26%と

なっています。

職業別では、会社員が50%となり、合格者の半分を占めています。合格者のほとんどが

数回の挑戦で合格していますが、1回の挑戦で合格する人は10%以上います。

 

そして、理系出身者の合格率は78.2%でした。

この合格率は、いかに弁理士の試験が

理系出身者にとって有利な資格であるかわかる数値です。

理系大学の出身者の中には、卒業研究や、理系の大学院在学中に行う研究にて

特許を出願することもあります。

特許を申請するまでに数々の工程を踏むため、

理系出身者には特許や知的財産に関する

基本的な知識が備わっていることがわかります。

 

また、弁理士試験の選択科目試験の各科目には、

理系の科目が多いことからも弁理士試験の合格者に、

理系出身者が多い理由の一つと言えます。

 

技術士と弁理士では、技術士の一次試験の合格率の方が40%ほど高いですが、最終的な二次試験の合格率は11.6%なので、実質、3%程高い合格率となり合格率の差はさほどありません。

 

技術士と弁理士の勉強時間

技術士試験の勉強時間は1000時間〜5000時間と言われています。

この勉強時間に大きな差がある理由は、

21分野うち、どの分野を勉強するかによって勉強時間が

異なることにあります。

中には、3年〜4年かけて資格取得をする人もいます。

技術士の試験では、第一次試験の勉強と第二次試験の勉強時間を

それぞれ設ける必要があるため、勉強時間が膨大となっています。

技術士試験の一次試験の合格率を見ても分かるように

第一次試験は、受験した半数近い人が受かるため、

それほど難関ではないように思えますが

第二次試験の筆記試験と口頭試験では「思考」が求められるため、

専門分野の知識以外に文章で説明するという理系の人たちにとって

苦手な分野を問われます。この思考を問われる

第二次試験で不合格になってしまう人が多いので、

技術士の試験合格を目指す人たちは、

第二次試験に向けて多くの勉強時間を割り当てる傾向にあります。

 

では、技術士の試験に比べて、弁理士試験の勉強時間はいかなるものか説明しましょう。

 

弁理士の試験に合格するために必要な勉強時間は、3000時間と言われており

技術士試験の勉強時間に比べると、2000時間少ないです。

この2000時間の差はとても大きく、

弁理士の1日平均の勉強時間は平日が3時間で

土日が8時間と言われていますが、

正しい勉強法で弁理士の試験に必要な範囲だけを

勉強すれば、勉強時間は1500時間程度で合格が可能です。

弁理士の試験を受ける人たちの多くは会社員ですから、

働きながら勉強に時間を費やすことは

簡単なことではありません。

しかし、集中して効率よく勉強を進めていけば、

勉強時間は1500時間程度ですみ、受験にかかるまでの時間を1年とし、

1日4時間×365日を少しずつ積み重ねていけば

1460時間になり、働きながらでも1年で合格することが可能です。

 

技術士と弁理士にある年収の違い

技術士の年収

技術士の平均年収は572万円です。一般の働き手に比べると高い年収となっています。

年齢別での平均年収は、50歳〜54歳で582万円と最も多く、20歳〜24歳

では290万円です。24歳以下の年収が極端に少ない理由は、戦力にならず、研修から始まることにあります。

 

また、平均年収は体系によっても大きく異なります。

①独立している場合:300万円以上

②大企業に就職している場合:580万円

③中小企業に就職している場合:400万円前後

①のように、技術士の資格を持って独立をしている人もいますが、独立している人の

平均年齢は50歳前後となり、独立後成功している人は少なく、独立した94%以上の人が

年収300万円前後となっています。

 

この他にも都道府県別の平均年収のデータも公表されており、東京都が801万円と最も

多く、1番低い平均年収であったのが沖縄県の458万円です。

東京都と沖縄県では343万円もの収入差が出ています。

 

以上のことから、平均年収572万円と謳われる技術士の年収ですが必ずしも、

この額がもらえるというわけではなく、年収572万円よりも低い年収になってしまう

可能性があることを押さえておくとよいでしょう。

 

弁理士の年収

弁理士の平均年収は800万円です。

20歳〜24歳の平均年収は433万円で、50歳〜54歳の年収が912万円と

最も多い平均年収となります。

 

また、平均年収は就職する企業によって大きく異なります。

 

①独立して成功している:年収1000万円〜3000万円

弁理士は、その絶対数が少ないことから大変重宝される職種であるため

成功する確率が高く、知財コンサルや経営コンサルに参加することもあり

幅広い収入が期待できます。

よって、年収1000万円から2000万円で独立成功と言えるでしょう。

②大手弁理士事務所、または大企業の企業内弁理士:年収881万円

先に独立を考える弁理士は、大規模な事務所や大手企業に就職する人が多い傾向にあります。

③中規模な弁理士事務所、または中企業内弁理士:年収729万円

④零細弁理士事務所、または零細企業の企業内弁理士:年収661万円

 

この他にも都道府県別の平均年収のデータも公表されており、

東京都が1064万円と最も多く、

1番低い平均年収であったのが沖縄県の608万円です。

東京都と沖縄県では456万円もの収入差がでています。

 

以上のことから、弁理士の年収と技術士の年収では、

圧倒的に弁理士の収入の方が多いことがわかります。

そして、弁理士は歩合制を採用している特許事務所が多いことから、

年齢に関係なく経験や能力が給与に反映されるため、

給与を増やすことが可能です。

特に、理系出身者の場合、

得意分野を活かし他の弁理士よりも豊富な知識を持ち合わせているので、

特許事務所での実務経験が5年前後で年収1000万円が手の届く

範囲となります。弁理士は売上次第で報酬は青天井なので年収2000万円も

夢ではありません。

 

技術士と弁理士の仕事内容の比較

技術士の業務内容

技術士は下記の21分野において、それぞれの仕事内容が異なります。

①機械部門:自動車メーカーや産業機器メーカーでの開発や設計を行う業務

②船舶・海洋部門:船舶の設計や油田、海洋資源の開発を行う業務

③航空・宇宙部門:飛行機メーカーや宇宙開発を行う企業で設計や

技術コンサルタントを行う業務

④電気電子部門:電力設備の設計、産業用モーターやFA機器の設計を行う業務

⑤化学部門:化学製造の装置設計や製品の製造を行う業務

⑥繊維部門:原材料の製造技術者として応用技術の研究を行う業務

⑦金属部門:金属材料の製造に携わり、製造工程の管理や新素材の研究を行う業務

⑧資源工学部門:個体資源の開発生産、流体資源の開発生産や地熱発電に携わる業務

⑨建設部門:土木関連の設計や、地質・コンクリート製造物の設計を行う業務

⑩上下水道部門:水道環境を維持し管理を行う業務

⑪衛生工学部門:建築物の設備構築を行う業務

⑫農業部門:肥料の開発や、植物保護。農業に関する設計コンサルタントを行う業務

⑬森林部門:林業に関する設備の整備や、木の育成技術開発、木材生産などに携わる業務

⑭水産部門:水産物の加工技術開発や、冷凍船の冷凍技術開発、水産物の製品管理や

品質管理をおこなう業務

⑮経営工学部門:工場にて生産管理を行う業務

⑯情報工学部門:サーバーの構築やプログラミング、インフォメーション・テクノロジーに

携わる業務

⑰応用理学部門:地質調査を行う業務

⑱生物工学部門:食品の分析や微生物を使った環境浄化を行う業務

⑲環境部門:環境保護保全、環境測定、自然環境保全や環境影響評価を行う業務

⑳原子力・放射線部門:原子炉システムの設計及び建設、原子炉システムの運転及び保全や

核燃料のリサイクル技術開発などを行う業務

㉑総合技術監理部門:品質やコストを適正に保ちつつ、人的資材や情報を駆使して安全面や

社会環境面に気を配りながら理論観や国際的視点に基づいて組織全体を管理する業務

 

弁理士の業務内容

弁理士の代表的な業務は、知的財産権を取りたい人のために特許庁への手続きを

代理で行うことです。

弁理士の仕事を大きく分けると3種類の業務があります。

 

①産業財産権(特許・実用新案、意匠、商標)の取得

権利の取得、鑑定・判定・技術評価書の作成に関する業務を担当します。

これらはいずれも、弁理士の独占業務となります。

外国での産業財産権の取得のために、外国における拒絶理由通知に対する応答案を作成したり、応答案を基に外国の代理人に正式な書面の作成を依頼したりします。

②産業財産権の紛争解決

訴訟を始め、裁判外紛争解決の手続きなど、輸出差止めの業務となります。

③コンサルティング業務、契約支援

知財コンサルティング、契約書の作成・レビュー、契約の代行を行います。

 

①の仕事は技術者へのヒアリングが多くを占める業務で、技術者の発明について

十分に理解し、特許明細書を作成します。特許明細書は、技術者の説明や、背景技術、

技術の応用例などを記載する必要があり、技術者へのヒアリングが1回、稀に数回と

なる業務です。このヒアリングに関して理系出身者の場合、発明の基礎的なロジックを

理解しているため、スムーズに業務を行うことができるでしょう。

 

理系には弁理士がおすすめ!

当記事では、技術士と弁理士の年収、業務内容、試験難易度などの違いを

解説させていただきました。

 

技術士と、弁理士ともに国家資格であり、どちらも誇れる職種ですが

私は理系の人たちに、弁理士になることをおすすめします。

 

弁理士は、技術士に比べて試験勉強時間も少なく、よりスムーズに行うことができ、一発で

合格できる確率も10%以上と、弁理士の方が高いです。

また、平均年収を比べても200万円以上もの差がついていることも

おすすめする理由の1つです。

技術士は、第一次試験合格後の4年〜10年を実務経験にあて、

難関と言われる二次試験に合格したにも関わらず、

その年収は果たして努力に見合っているのかと考えると

疑問が残ります。

また、技術士は独立後に成功することが難しい業種であることに対して、

弁理士の場合は雇われ弁理士としても安定が望め、

独立した後のことを考えても努力が報酬に結びつく数少ない業種です。

 

あなたが理系出身で、どちらの資格を取るか迷っているならば、

是非この記事を参考にしていただければ幸いです。

理系出身弁理士のお仲間が増えることを願っています。

 

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