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理系に社会保険労務士資格より弁理士資格をおすすめする理由を徹底解説

社会保険労務士(労務士、社労士)は、社会保険関係や労働関係の法律、企業の人事や労務に関する仕事をしています。中でも人材に関する専門家で「労働及び社会保険に関する法令の円滑な実施を目指し、事業の健全な発達と労働者たちの福祉の向上を目指す」を目的として

業務を行っています。

弁理士は、技術や発明の権利、知的財産を守るための仕事をしています。どちらも重要な

責任を担う仕事ですが、その業務内容は大きく異なるため資格を取得する上での勉強の

方向性も大きく異なります。

その割合を見ると、社会保険労務士には文系出身の人が多く弁理士には、理系出身の人が多く

見受けられます。

 

当記事では、なぜ理系に弁理士がおすすめなのかを業務内容や年収資格試験などを通して

解説していきます。社会保険労務士と弁理士のどちらかで、迷っている理系の方はそれぞれの違いを見て参考にしてみてください。

 

社会保険労務士と弁理士の資格難易度の違い

社会保険労務士には受験資格が必要で、受験資格は学歴、実務経験、試験合格の3つに

分けられます。下記のうち一つでも満たせば受験資格を得ることが出来ます。

学歴

・学校教育法による大学、短期大学、専門職大学、専門職短期大学若しくは高等専門学校

(5年制)を卒業した者又は専門職大学の前期課程を修了した者

・上記の大学(短期大学を除く)において62単位以上の卒業要件単位を修得した者

・上記の大学(短期大学を除く)において一般教養科目と専門教育科目等との区分けを

しているものにおいて一般教養科目36単位以上を修得し、かつ、専門教育科目等の単位を

加えて合計48単位以上の卒業要件単位を修得した者

・旧高等学校令による高等学校高等科、旧大学令による大学予科又は旧専門学校令による

専門学校を卒業し、又は修了した者

・厚生労働大臣が認めた学校等を卒業し又は所定の課程を修了した者

・修業年限が2年以上で、かつ、課程の修了に必要な総授業時間数が、1,700 時間(62単位)

以上の専修学校の専門課程を修了した者

・全国社会保険労務士会連合会において、個別の受験資格審査により、学校教育法に定める

短期大学を卒業した者と同等以上の学力があると認められる者(各種学校、外国の大学等の

卒業者等)

 

実務経験

・労働社会保険諸法令の規定に基づいて設立された法人の役員(非常勤の者を除く)又は

従業者として同法令の実施事務に従事した期間が通算して3年以上になる者

・国又は地方公共団体の公務員として行政事務に従事した期間及び行政執行法人(

旧特定独立行政法人)、特定地方独立行政法人又は日本郵政公社の役員又は職員として

行政事務に相当する事務に従事した期間が通算して3年以上になる者

・全国健康保険協会、日本年金機構の役員(非常勤の者を除く)又は従業者として

社会保険諸法令の実施事務に従事した期間が通算して3年以上になる者(社会保険庁の

職員として行政事務に従事した期間を含む)

・社会保険労務士若しくは社会保険労務士法人又は弁護士若しくは弁護士法人の業務の

補助の事務に従事した期間が通算して3年以上になる者

・労働組合の役員として労働組合の業務に専ら従事した期間が通算して3年以上になる者

・会社その他の法人の役員として労務を担当した期間が通算して3年以上になる者

・労働組合の職員又は法人等若しくは事業を営む個人の従業者として労働社会保険諸法令に

関する事務に従事した期間が通算して3年以上になる者

 

試験合格

・社会保険労務士試験以外の国家試験のうち厚生労働大臣が認めた国家試験に合格した者

・司法試験予備試験、旧法の規程による司法試験の第一次試験、旧司法試験の第一次試験

又は高等試験予備試験に合格した者

・行政書士試験に合格した者

 

社会保険労務士になるためには、まず上記のいずれか1つの受験資格を持ち、社会保険労務士試験に合格し、2年以上の労働社会保険諸法令に関する実務経験が必要です。実務経験を経た後に、全国社会保険労務士会連合会に登録することができるので、社会保険労務士として独り立ちするまでにたくさんの時間を費やすことになります。

 

また、社会保険労務士試験の合格者は、30代が最も多く、次いで40代・50代と

なっていることからもわかるように、働きながらでも挑戦しやすい試験です。

 

先にも、社会保険労務士の試験を受ける人たちに文系出身者が多いことを上げましたが

その理由は、社会保険労務士試験の試験科目にあるでしょう。

上記にあげた社会保険労務士の受験資格を持つ人たちの大半が法学部を卒業した人が多く、

社会保険労務士を受ける前提の人たちが文系出身者に限定されるような受験資格と

なっています。それに合わせて、社会保険労務士の試験科目は、労働基準法、

労働者災害補償保険法、雇用保険法、労務管理に関する一般常識、健康保険法

厚生年金保険法、国民年金法ですから、文系出身者が学生時代に学んできたことの

多くが反映されていることがわかります。

 

社会保険労務士の試験に比べて弁理士の試験は、特許や知的財産に関する分野に絞って

勉強することができるので、仕事をしながら独学でも問題なく学ぶことが可能です。

論文試験で出題される事例問題は分析力を求められますが、理系出身の人からすれば

分析は基本的な考え方の一つですから、分析力を合格基準点まで鍛え上げることができれば

一発で合格することも可能です。

実際に、合格者の平均年齢が37歳であることから、たくさんの人が仕事をしながら

資格取得を目指していることがわかります。

 

また、弁理士は、弁理士の試験に合格した後、実務研修があり、修習が終わって初めて

弁理士会に登録して弁理士になれます。

 

このように、試験だけを見ても社会保険労務士と弁理士では大きく異なっています。

 

社会保険労務士と弁理士の合格率

2019年度は、社会保険労務士の試験を受けた人は38428名、合格者は2525名で

合格率は

6.6%でした。毎年、6%〜7%の合格率となります。年齢別で合格率を見てみると

30代が33.1%と最も多く、次いで40代では31.5%となっています。

20代の合格率がもっとも少なく8.2%です。社会保険労務士試験の合格者は30代に

次いで40代も多いことから、働きながら社会保険労務士の試験に挑戦していることが

わかります。

 

弁理士の試験の場合は、特許庁の発表しているデータによると、2019年に弁理士の試験を受けた人は3488名、合格者は284名で、合格率は8.1%でした。

過去のデータから比較すると、受験者は年々減少傾向にありますが、合格者はほぼ横ばいで

毎年、7%〜8%をいったりきたりしている状態です。

年齢別で合格率を見てみると30代が47%と最も多く、次いで40代が26%と

なっています。

職業別では、会社員が50%となり、合格者の半分を占めています。合格者のほとんどが

数回の挑戦で合格していますが、1回の挑戦で合格する人は10%以上います。

 

そして、理系出身者の合格率は78.2%でした。この合格率は、いかに弁理士の試験が

理系出身者にとって有利な資格であるかわかる数値です。

理系大学の出身者の中には、卒業研究や、理系の大学院在学中に行う研究にて

特許を出願することもあります。

特許を申請するまでに数々の工程を踏むため、理系出身者には特許や知的財産に関する

基本的な知識が備わっていることがわかります。

 

また、弁理士試験の選択科目試験の各科目には、理系の科目が多いことからも弁理士試験の

合格者に、理系出身者が多い理由の一つと言えます。

 

社会保険労務士試験と弁理士試験の合格率は、同じぐらいです。社会保険労務士試験の

合格者は20代の合格者がとても少ないのに対して、弁理士試験は年齢も20代〜40代と

幅広い年齢の合格者がいます。会社員として働いている人たちも多く、大半の人が理系の

職種についている人たちです。よって、たくさんの文系の人たちが取得する社会保険労務士の試験よりも社会人になってからの実務を活かし、コツコツ学べる弁理士試験の方が

理系出身者におすすめであると言えるでしょう。

 

社会保険労務士と弁理士の勉強時間

社会保険労務士試験の勉強時間は1000時間と言われていますが、一人あたりの

平均受験回数は3回〜4回で、1回で合格できる人が少ないことを考えると、1000時間と

決めて勉強するのではなく、あくまで目安の時間として考えるべきでしょう。

社会保険労務士の試験科目の中でも、高得点の狙いやすい労働基準法や雇用保険法に力を

入れて勉強している人が多いです。

 

では、社会保険労務士の試験に比べて、弁理士試験の勉強時間はいかなるものか

説明しましょう。

 

弁理士の試験に合格するために必要な勉強時間は、3000時間と言われており

時間だけで見ると、社会保険労務士よりも2000時間多いです。

 

弁理士の1日平均の勉強時間は平日が3時間で土日が8時間と言われていますが、正しい

勉強法で弁理士の試験に必要な範囲だけを勉強すれば、勉強時間は1500時間程度で合格が可能です。弁理士の試験を受ける人たちの多くは会社員ですから、働きながら勉強に時間を

費やすことは簡単なことではありません。

しかし、集中して効率よく勉強を進めていけば、勉強時間は1500時間程度ですみ

受験にかかるまでの時間を1年とし、1日4時間×365日を少しずつ積み重ねていけば

1460時間になり、働きながらでも1年で合格することが可能です。

 

社会保険労務士試験の勉強時間が1000時間と言われていることに対し、弁理士試験の

勉強時間は、効率よく勉強を進めていけば、1460時間までに短くすることが出来るので

勉強時間の差はさほどないことがわかります。

 

社会保険労務士と弁理士にある年収の違い

社会保険労務士の年収

社会保険労務士の平均年収は670万円前後です。一般の働き手に比べると高い年収となっています。年齢別での平均年収は、50歳〜54歳で700万円と最も多く、20歳〜24歳

では290万円です。24歳以下の年収が極端に少ない理由は、戦力にならず、研修から始まることにあります。

 

また、平均年収は体系によっても大きく異なります。

①独立している場合:450万円〜800万円

②事務所勤務の場合:400万円〜650万円

③複数の資格を持ち独立している場合:1000万円

 

この他にも都道府県別の平均年収のデータも公表されており、東京都が938万円と最も

多く、1番低い平均年収であったのが沖縄県の536万円です。

東京都と沖縄県では402万円もの収入差が出ています。

 

以上のことから、平均年収670万円と謳われる社会保険労務士の年収ですが必ずしも、

この額がもらえるというわけではなく、年収670万円よりも低い年収になってしまう

可能性があることを押さえておくとよいでしょう。

 

弁理士の年収

弁理士の平均年収は800万円です。

20歳〜24歳の平均年収は433万円で、50歳〜54歳の年収が912万円と

最も多い平均年収となります。

 

また、平均年収は就職する企業によって大きく異なります。

 

①独立して成功している:年収1000万円〜3000万円

弁理士は、その絶対数が少ないことから大変重宝される職種であるため

成功する確率が高く、知財コンサルや経営コンサルに参加することもあり

幅広い収入が期待できます。

よって、年収1000万円から2000万円で独立成功と言えるでしょう。

②大手弁理士事務所、または大企業の企業内弁理士:年収881万円

先に独立を考える弁理士は、大規模な事務所や大手企業に就職する人が多い傾向にあります。

③中規模な弁理士事務所、または中企業内弁理士:年収729万円

④零細弁理士事務所、または小企業の企業内弁理士:年収661万円

 

この他にも都道府県別の平均年収のデータも公表されており、東京都が1064万円と

最も多く、1番低い平均年収であったのが沖縄県の608万円です。

東京都と沖縄県では456万円もの収入差がでています。

 

以上のことから、弁理士の年収と社会保険労務士の年収では、圧倒的に弁理士の収入の方が

多いことがわかります。そして、弁理士は歩合制を採用している特許事務所が多いことから、

年齢に関係なく経験や能力が給与に反映されるため、給与を増やすことが可能です。

特に、理系出身者の場合、得意分野を活かし他の弁理士よりも豊富な知識を

持ち合わせているので、特許事務所での実務経験が5年前後で年収1000万円が手の届く

範囲となります。弁理士は売上次第で報酬は青天井なので年収2000万円も

夢ではありません。

 

社会保険労務士と弁理士の仕事内容の比較

社会保険労務士の業務内容

社会保険労務士は、社会保険関係や労働関係の法律、企業の人事や労務に関す仕事を

しています。

社会保険労務士には主に3つの業務にわかれます。

 

①企業からの依頼

・人事雇用等 労務に関する相談、指導、顧問

・労働トラブル、労務リスク対策の相談

・就業規則、雇用契約書等の作成や改定

・労働災害、通勤災害における申請や給付に関する手続き

・社会保険における私傷病、出産、死亡等に関する申請や給付の手続き

・雇用保険における申請や給付等の手続き

・労働保険料の加入手続き、年度更新に伴う諸手続き

・社会保険料の算定基礎届の作成

・賃金や退職金、企業年金制度の構築

・各種助成金の相談、申請

②個人からの依頼

・年金に伴う相談、給付代行

・労働に伴う相談、紛争代理

③行政との連携業務

・厚生労働省管轄下の公的機関での相談業務

 

弁理士の業務内容

弁理士の代表的な業務は、知的財産権を取りたい人のために特許庁への手続きを

代理で行うことです。

弁理士の仕事を大きく分けると3種類の業務があります。

 

①産業財産権(特許・実用新案、意匠、商標)の取得

権利の取得、鑑定・判定・技術評価書の作成に関する業務を担当します。

これらはいずれも、弁理士の独占業務となります。

外国での産業財産権の取得のために、外国における拒絶理由通知に対する応答案を作成したり、応答案を基に外国の代理人に正式な書面の作成を依頼したりします。

②産業財産権の紛争解決

訴訟を始め、裁判外紛争解決の手続きなど、輸出差止めの業務となります。

③コンサルティング業務、契約支援

知財コンサルティング、契約書の作成・レビュー、契約の代行を行います。

 

①の仕事は技術者へのヒアリングが多くを占める業務で、技術者の発明について

十分に理解し、特許明細書を作成します。特許明細書は、技術者の説明や、背景技術、

技術の応用例などを記載する必要があり、技術者へのヒアリングが1回、稀に数回と

なる業務です。このヒアリングに関して理系出身者の場合、発明の基礎的なロジックを

理解しているため、スムーズに業務を行うことができるでしょう。

 

理系には弁理士がおすすめ!

当記事では、社会保険労務士と弁理士の年収、業務内容、試験難易度などの違いを

解説させていただきました。

 

社会保険労務士と、弁理士ともに国家資格であり、どちらも誇れる職種ですが

私は理系の人たちに、弁理士になることをおすすめします。

 

弁理士と社会保険労務士の合格率は同じぐらいですが、試験勉強もスムーズに行うことができ、一発で合格できる確率も10%以上と、弁理士の方が高いです。

また、平均年収を比べても200万円以上もの差がついていることもおすすめする理由の

1つです。社会保険労務士は、難関と言われる試験に合格したにも関わらず、その年収は果たして努力に見合っているのかと考えると疑問が残ります。弁理士の場合は雇われ

弁理士としても安定が望め、独立した後のことを考えても努力が報酬に結びつく数少ない

業種です。

 

そして、やはり社会保険労務士には文系出身者が多く、弁理士には理系出身者が多いという

点を考えると、今持っている自分の知識を存分に発揮できるのは弁理士という職業でしょう。

 

あなたが理系出身で、どちらの資格を取るか迷っているならば、是非この記事を参考に

していただければ幸いです。

理系出身弁理士のお仲間が増えることを願っています。

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