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理系に公認会計士より弁理士資格をおすすめする理由を徹底解説

公認会計士と弁理士はどちらも共に難易度の高い資格であると言えます。

公認会計士は公益の利益を守る仕事で、日本経済全体の健全さや透明性の現実、

経済の発展に重要な役割を担っています。

弁理士は、技術や発明の権利、知的財産を守るための仕事をしています。

どちらも重要な責任を担う仕事ですが、その業務内容は大きく異なるため

資格を取得する上での勉強の方向性も大きく異なります。

その割合を見ると、公認会計士には文系出身の人が多く

弁理士には、理系出身の人が多く見受けられます。

 

当記事では、なぜ理系に弁理士がおすすめなのかを業務内容や年収

資格試験などを通して解説していきます。

公認会計士と弁理士のどちらかで、迷っている理系の方はそれぞれの違いを

見て参考にしてみてください。

 

公認会計士と弁理士の資格難易度の違い

公認会計士試験と弁理士試験は、共に難易度の高い試験ですが

どちらの試験も、受験資格は設けておらず、年齢、国籍、学歴に問わず

誰しもが受けることのできる試験です。

 

公認会計士になるためには、試験に2回合格しなくてはなりません。

まず、公認会計士の試験に合格し、その後、2年間の実務経験と実務補習機関での

単位の取得を経て、修了審査(最終試験)に合格する必要があるため

公認会計士の資格を取るまでに、たくさんの時間を費やすことになります。

また、公認会計士試験の合格者の平均年齢は25歳ととても若く

大学在学中は、時間の余裕もあることから集中して勉強し、学生の間に

公認会計士の資格を取るケースが多く見られます。

 

先にも、公認会計士の試験を受ける人たちに文系出身者が多いことを上げましたが

その理由は、公認会計士試験の選択科目にあるでしょう。

公認会計士試験の選択科目は「経営学」「経済学」「民法」「統計学」の

4科目です。

受験者の傾向を見ると「経営学」を選択する確率が80%以上を占めています。

このことからも分かるように、公認会計士の試験に合格した人たちの多くは

経済学部、商学部、経営学部といった学部出身者の合格率が高いと言えます。

 

公認会計士の試験に比べて弁理士の試験は、特許や知的財産に関する分野に絞って

勉強することができるので、仕事をしながら独学でも問題なく学ぶことが可能です。

論文試験で出題される事例問題は分析力を求められますが、理系出身の人からすれば

分析は基本的な考え方の一つですから、分析力を合格基準点まで鍛え上げることができれば

一発で合格することも可能です。

実際に、合格者の平均年齢が37歳であることから、たくさんの人が仕事をしながら

資格取得を目指していることがわかります。

 

また、弁理士の場合、公認会計士のような実務を積んでから合格(登録)ということは無く

弁理士の試験に合格した後、すぐに「弁理士」と名乗り、仕事をすることができます。

新米として、経験豊富な先輩弁理士の下で実務を学ぶ機会を設けられていますが

公認会計士のように、2年の実務経験を積んで最終試験に臨むことはありません。

 

このように、試験だけを見ても公認会計士と弁理士では大きく異なっています。

 

公認会計士と弁理士の合格率

2019年度は、公認会計士の試験を受けた人は10563名、合格者は1337名で

合格率は10.7%でした。10人に1人が受かる狭き門となります。

ここ数年の合格率は10%前後を維持しており、合格率は緩やかではありますが

増加傾向にあります。

年齢別で合格率を見てみると20歳〜25歳未満が17%と最も多く、次いで25歳〜30歳

未満では12%となっています。

40歳以上になると合格率が極端に下がり、数%となっています。

学歴別では、大学院在学中が20%と最も多く、次いで大学在学中が16%となっています。

職業別では、会計士補と学生が共に16%と最も多く、次いで専修学校や各種学校受講生が

14%となっています。

 

弁理士の試験の場合は、特許庁の発表しているデータによると、2019年に弁理士の試験を受けた人は3488名、合格者は284名で、合格率は8.1%でした。

過去のデータから比較すると、受験者は年々減少傾向にありますが、合格者はほぼ横ばいで

毎年、7%〜8%をいったりきたりしている状態です。

年齢別で合格率を見てみると30代が47%と最も多く、次いで40代が26%と

なっています。

職業別では、会社員が50%となり、合格者の半分を占めています。

合格者のほとんどが数回の挑戦で合格していますが、1回の挑戦で合格する人は

10%以上います。

 

そして、理系出身者の合格率は78.2%でした。この合格率は、いかに弁理士の試験が

理系出身者にとって有利な資格であるかわかる数値です。

理系大学の出身者の中には、卒業研究や、理系の大学院在学中に行う研究にて

特許を出願することもあります。

特許を申請するまでに数々の工程を踏むため、理系出身者には特許や知的財産に関する

基本的な知識が備わっていることがわかります。

 

また、弁理士試験の選択科目試験の各科目には、理系の科目が多いことからも

弁理士試験の合格者に、理系出身者が多い理由の一つと言えます。

 

公認会計士と弁理士では、公認会計士試験の合格率が若干高い傾向にあります。

しかし、合格率だけで判断するのではなく、年齢別の合格率や職業別の合格率も

加味して判断するべきでしょう。

公認会計士試験の合格者は、年齢も若く学校に在籍中に資格を取得しているのに対して

弁理士試験の合格者は、年齢も20代〜40代と幅広く、会社員として働きながら資格を

取得している人がたくさんいます。

この会社員として働いている人たちの多くは、理系の職種についている人たちです。

よって、文系の人たちが在学中に取得する公認会計士試験よりも

社会人になってからの実務を活かし、コツコツ学べる弁理士試験の方が

理系出身者におすすめであると言えるでしょう。

 

公認会計士と弁理士の勉強時間

公認会計士試験の勉強時間は、3500時間と言われています。

しかし、この3500時間はあくまで目安であり、中には5000時間を要するという人も

います。最短合格に挑戦する場合でも、平均2500時間が必要です。

受験までにかける期間は、1.5年から2年が一般的で1日当たりの勉強時間は

平均5時間です。

一発合格者の1日あたりの勉強時間は6時間から8時間と言われていますが

中には、1日の勉強時間が10時間という途方にくれるデータも出ています。

 

では、公認会計士の試験に比べて、弁理士試験の勉強時間はいかなるものか説明しましょう。

 

弁理士の試験に合格するために必要な勉強時間は、3000時間と言われており

公認会計士試験の勉強時間に比べると、500時間程度少ないです。

この500時間の差はとても大きく、弁理士の1日平均の勉強時間は平日が3時間で

土日が8時間と言われていますが、正しい勉強法で弁理士の試験に必要な範囲だけを

勉強すれば、勉強時間は1500時間程度で合格が可能です。

弁理士の試験を受ける人たちの多くは会社員ですから、働きながら勉強に時間を費やすことは

簡単なことではありません。

しかし、集中して効率よく勉強を進めていけば、勉強時間は1500時間程度ですみ

受験にかかるまでの時間を1年とし、1日4時間×365日を少しずつ積み重ねていけば

1460時間になり、働きながらでも1年で合格することが可能です。

 

公認会計士と弁理士にある年収の違い

公認会計士と弁理士の平均年収は共に800万円です。

これは、あくまで平均であり、公認会計士、弁理士共に20代から上は70代の人たちが

これらの肩書を持って働いています。

そのため一概に平均だけを見て、判断するのではなく詳細まで掘り下げていきましょう。

 

公認会計士の年収

 

公認会計士の平均年収は800万円となりますが、これは個人事業主として

独立した公認会計士の年収が大きく平均額を押し上げています。

実際は、20歳〜24歳の平均年収は400万円です。

そこから少しずつ昇給していき、50歳〜54歳の平均年収は1300万円と最も多い

平均年収となります。

 

また、平均年収は就職する企業によっても大きく異なります。

独立して成功している:1000万円〜3000万円

3000万円クラスの年収を叩き出す人も中にはいますが、通常の独立公認会計士は

年収1000万円〜1500万円辺りで独立成功と言えるでしょう。

大手監査法人に就職:900万円

先の独立を考える公認会計士は、大手監査法人に就職する人が多い傾向にあります。

コンサルティング会社に就職:1200万円

1200万円の年収を叩き出すのは、あくまで外資系コンサルティング会社であり

日本のコンサルティング会社に就職した場合は、800万円といったところです。

事業会社に就職:500万円〜700万円

大手監査法人以外の、中小を含めた一般企業に就職した人の平均年収です。

 

この他にも都道府県別の平均年収のデータも公表されており、東京都が1296万円と

最も多く、1番低い平均年収であったのが沖縄県の741万円です。

東京都と沖縄県では556万円もの収入差が出ています。

 

以上のことから、平均年収800万円と謳われる公認会計士の年収ですが

必ずしも、この額がもらえるというわけではなく、年収800万円よりも

低い年収になってしまう可能性があることを押さえておくとよいでしょう。

 

弁理士の年収

弁理士の平均年収は800万円です。

20歳〜24歳の平均年収は433万円で、50歳〜54歳の年収が912万円と

最も多い平均年収となります。

 

また、平均年収は就職する企業によって大きく異なります。

 

独立して成功:年収1000万円〜3000万円

弁理士は、その絶対数が少ないことから大変重宝される職種であるため

成功する確率が高く、知財コンサルや経営コンサルに参加することもあり

幅広い収入が期待できます。

よって、年収1000万円から2000万円で独立成功と言えるでしょう。

大企業の弁理士:年収881万円

先に独立を考える弁理士は、大手企業に就職する人が多い傾向にあります。

中企業の弁理士:年収729万円

小企業の弁理士:年収661万円

 

この他にも都道府県別の平均年収のデータも公表されており、東京都が1064万円と

最も多く、1番低い平均年収であったのが沖縄県の608万円です。

東京都と沖縄県では456万円もの収入差がでています。

 

以上のことから、弁理士の年収は公認会計士の収入と同等の年収となっています。

しかし、弁理士は歩合制を採用している特許事務所が多いことから、年齢に関係なく

経験や能力が給与に反映されるため、給与を増やすことが可能です。

特に、理系出身者の場合、得意分野を活かし他の弁理士よりも豊富な知識を持ち合わせているので、特許事務所での実務経験が5年前後で年収1000万円が手の届く範囲となります。

弁理士は売上次第で報酬は青天井なので年収2000万円も夢ではありません。

 

また、昨今のIT技術の目まぐるしい成長に伴い、AIの発達が目まぐるしい中で公認会計士の

存続が危ぶまれています。実際に、IT先進国であるヨーロッパの小国エストニアでは

AIの発達により公認会計士が職を奪われ、公認会計士の数が減少した事実があります。

日本はまだまだIT文化の波に乗れていない節がありますが、ここ数年で大々的な改善が見込まれることを考えると、少々公認会計士になることに不安を感じてしまう人も

出てくることでしょう。

コンピューターでは担いきれないコアな業務を行っている弁理士は、将来的にも需要の高い

業種といえます。

 

公認会計士の仕事内容

公認会計士の代表的な業務は、企業に対し監査を行うことです。財務書類を調べ

書類の不備や会計の適正をチェックし、公開されている財務情報の信頼性を保証します。

監査には、企業による粉飾決算や株価の水増しなどの不正を防ぎ経済の安定を図る

目的があります。監査は公認会計士のみに許可された独占業務の一つです。

その他にも、税金に関する申告書類の作成や財務相談にのったり

経営に関する問題について相談を受けることもあります。

また、就職する企業により仕事内容は大きく異なります。

 

(1)監査法人

監査法人に勤務する公認会計士は、上場会社の監査や株式公開の準備などさまざまな監査を行っています。公認会計士は試験に合格すると、大半の人が監査法人に勤務します。

(2)独立開業

公認会計士は、監査法人で経験を積んだ後に、自分の事務所を開くことができます。

仕事内容は、税務業務や経営コンサルティングを行うことが多いです。

(3)経営コンサルタント

公認会計士の独立業務ではありませんが、コンサルティング業務は、公認会計士が

活躍しやすい業務の一つです。

(4)大企業の経理や財務

公認会計士は、大企業で働く人も多くいます。組織内会計士として経理部門、財務部門

経営企画室などで働いています。

(5)ベンチャー企業のCFO

ここ数年で増加した業務の一つで、ベンチャー企業の最高財務責任者として働く公認会計士が

増えています。

(6)金融機関

公認会計士は、銀行、証券、投資銀行など様々な金融機関で活躍することが可能です。

金融機関の中で、専門知識を活用し投資や経営アドバイスを行う仕事をしています。

弁理士もコンサルティングや企業の相談に乗ることは、主な業務の一つとしてあげられますが

弁理士は「知的財産」に関するコンサルティングを行ったり、特許出願戦略、他社特許の抵触性、特許出願に関する相談を企業を受けたりします。

もう少し分かりやすくするために、次は弁理士の仕事内容について説明しましょう。

 

知的財産の専門家である弁理士の業務内容

弁理士の代表的な業務は、知的財産権を取りたい人のために特許庁への手続きを

代理で行うことです。

弁理士の仕事を大きく分けると3種類の業務があります。

(1)産業財産権(特許・実用新案、意匠、商標)の取得

権利の取得、鑑定・判定・技術評価書の作成に関する業務を担当します。

これらはいずれも、弁理士の独占業務となります。

外国での産業財産権の取得のために、外国における拒絶理由通知に対する応答案を作成したり、応答案を基に外国の代理人に正式な書面の作成を依頼したりします。

(2)産業財産権の紛争解決

訴訟を始め、裁判外紛争解決の手続きなど、輸出差止めの業務となります。

 

(3)コンサルティング業務、契約支援

知財コンサルティング、契約書の作成・レビュー、契約の代行を行います。

 

(1)の仕事は技術者へのヒアリングが多くを占める業務で、技術者の発明について

十分に理解し、特許明細書を作成します。特許明細書は、技術者の説明や、背景技術、

技術の応用例などを記載する必要があり、技術者へのヒアリングが1回、稀に数回と

なる業務です。このヒアリングに関して理系出身者の場合、発明の基礎的なロジックを

理解しているため、スムーズに業務を行うことができるでしょう。

 

理系には弁理士がおすすめ!

当記事では、公認会計士と弁理士の年収、業務内容、試験難易度などの違いを

解説させていただきました。

 

公認会計士、弁理士ともに最高峰の国家資格であり、どちらも誇れる職種ですが

私は理系の人たちに、弁理士になることをおすすめします。

 

AI発展の不安もありますが、やはり公認会計士には文系出身者が多く

弁理士には理系出身者が多いという点を考えると、今持っている自分の知識を存分に発揮

できるのは弁理士という職業でしょう。

 

あなたが理系出身で、どちらの資格を取るか迷っているならば、是非この記事を参考に

していただければ幸いです。

理系出身弁理士のお仲間が増えることを願っています。

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